千と千尋の神隠しのモデルの温泉地
渋温泉(しぶおんせん)は、湯田中温泉郷にある温泉地のひとつで長野県下高井郡山ノ内町近辺の横湯川沿いの地区にあります。
それほど大きくない町の中に温泉の源泉は約40ヵ所もあり、長野県の中でもその湯量と泉質はトップクラスになっています。
しかも源泉によって、泉質が異なっているところが多いので、白濁湯系から茶色のものや無色透明な湯など様々な温泉を楽しむことが出来ます。
その効能も神経痛から美肌までいろいろなので、目的や体調に合わせて好みの温泉に入浴することができます。
また湯量も豊富なので、どの旅館や共同浴場も温泉は源泉かけ流しになっています。
そんな渋温泉は、1300年ほど前に行基によって発見されて開湯されたといわれています。
数多くある武田信玄の隠し湯のひとつともされていて、川中島の戦いで傷ついた兵士を療養させたとのいい伝えも残っています。
温泉街のはずれにある「横湯山温泉寺(よこゆやまおんせんじ)」も武田信玄が建立したお寺だそうで、屋根瓦には武田家の家紋が今でもあります。
江戸時代には、小林一茶や葛飾北斎なども渋温泉に湯治に訪れたらしいです。
30軒くらいの温泉旅館の中でも「金具屋旅館」は文化財指定もにされていて、あの「千と千尋の神隠し」に出てくる「油屋」という湯屋(おふろやさん)のモデルとされています。
九湯めぐり(厄除巡浴外湯めぐり)とは
渋温泉には、共同浴場(外湯)が9ヶ所あります。
それぞれに、一番から九番の番号と名称がついています。
1一番湯 初湯
渋温泉の共同浴場「初湯」。
その名前通り、渋温泉の湯めぐりでの一番湯になります。
木造造りの建物で、風情があります。
こんな感じの共同浴場が多いのも渋温泉の魅力でしょうか。
名僧行基が最初に発見した温泉で、托鉢の鉢を洗ったと云われていたものを、
いつの頃からか初湯となり今に今に伝わっています。
胃腸に良く効く事から誰言うこと無く「胃腸の湯」と呼ばれています。
源泉名:渋温泉総合源泉(比良の湯・薬師の湯・とんびの湯 混合泉)
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱酸性-低張性-高温泉)
泉温:57.7度
PH:4.0
効能:胃腸
2二番湯 笹の湯
昔、笹薮の中から温泉が湧き出していたことから、笹湯と呼ばれてきました。
笹の成分が温泉に溶け出して湿疹などに良く効くと云われています。
また、病気の回復時に効果が有ると云われ「仕上げの湯」とも呼ばれています。
源泉名:渋温泉総合源泉(比良の湯・薬師の湯・とんびの湯 混合泉)
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱酸性-低張性-高温泉)
泉温:57.7度
PH:4.0
効能:胃腸
3三番湯 綿の湯
この浴場が出来た頃の温泉には白い湯花が混じっており、それが綿に似ているところからこの名前が付けられております。
婦人風呂は特に「子持ちの湯」とも名付けられておりますが、この温泉で湯治する事により、子宝に恵まれる人が多いからでしょう。
源泉名:横湯第一ボーリング、横湯第二ボーリング、熱の湯の混合
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
泉温:90度
PH:7.6
4四番湯 竹の湯
その昔、長い間の念願であった地獄谷からの引湯に成功した時、その快挙を祝福して当時の人々が松の湯と共に名付けました。
慢性通風にはゆっくり患部を温めると効果が有ります。
しかしながら、外湯に梅の湯が無いのはどうしてでしょう。
源泉名:横湯第一ボーリング、横湯第二ボーリング、熱の湯
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
泉温:70.5度
PH:7.6
5五番湯 松の湯
竹の湯と相前後して完成したのがこの松の湯です。
「あなたを待つ湯」などと昔の人は洒落て云っていたらしく、ここが集会所の役目も果たしていたようです。
神経痛や病気の快復時に良い様で、湯の中で体を動かすと痛みが軽くなります。
源泉名:目洗の湯、ガニ沢の湯の混合泉
泉温:52.5度
PH:7.6
6六番湯 目洗いの湯
その昔、目を洗って眼病を癒した、と云われていることから命名されています。
温泉が、滝のように湯船に落ちていた頃は、滝の湯とも呼ばれていました。
また、肌がきれいになることから「美人の湯」とも呼ばれています。
源泉名:目洗の湯、ガニ沢の湯
泉質:酸塩・塩化物温泉
泉温:52.5度
PH:7.6
7七番湯 七操の湯
非常に古い時代に開設されたこの浴場は、最初は温泉が七本の滝となって湯船に流れ落ちていたと云う事です。
また、七つの病気に効く。とか、七回入れば病が全快する。
などと云われており、「七操の湯」と呼ばれているようです。
源泉名:七操の湯
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
泉温:50.9度
PH:7.5
8八番湯 神明滝の湯
源泉は、裏山の神明山から沸出し、昔は滝の様な打たせ湯で疲れを癒した所から命名されています。
婦人病に良く効き、子宝にも恵まれるお湯だと云うことから、「子宝の湯」とも呼ばれ親しまれています。
源泉名:神明滝の湯
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉(弱酸性 低張性 高温泉)
泉温:58.3度
PH:4.8
9九番湯 渋大湯
渋温泉を代表する天下の名湯で、高僧行基により発見された霊泉です。
巡浴祈願の最後に入浴し、それから薬師庵に登り薬師如来に心を込めてお参りしていただきます。
万病に効くと云われておりますが、特に神経津・リウマチ等に効く事で有名です。
また、源泉(地下にあります)の湯気を利用した蒸し風呂もお楽しみいただけます。
屋上には同じ源泉の足湯もございます。
源泉名:渋大湯
泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
泉温:59.6度
PH:4.5
10湯めぐりでの注意
一般の観光客にも、広く開放されていて誰でも利用な共同浴場は「大湯」のみです。
(ただし、地元の人と渋温泉の宿泊客以外は有料での利用になります)
ちなみに、他の1番湯から8番湯の共同浴場については、渋温泉に宿泊すれば宿から鍵を借りられ、無料で湯めぐりをすることができます。
もちろん、この大湯に入ることも可能なので渋温泉を満喫したいなら迷わずに宿泊すべきでしょう。
大湯は、渋温泉を代表する温泉だけあって観光客にも人気のスポットです。
渋温泉に宿泊してご利益を得ましょう
一般には開放されていないところも含めて9つの共同浴場のすべてを、渋温泉に宿泊する人だけ特別に無料で入浴することができます。
この9つの共同湯の湯めぐりは、「 九(苦)労を流し、厄除け、安産育児、不老長寿のご利益がある」といわれています。
湯めぐりにはまず、宿泊施設や売店で「祈願手ぬぐい」を購入します。
そして、入浴をした共同湯のスタンプを押していきます。
湯めぐりをするにはすべての共同湯には鍵がかかっているので、宿泊をする宿で共同浴場の鍵を借りなければなりません。
「祈願手ぬぐい」に押すスタンプは、各共同湯に設置されています。
すべての湯をめぐり終ると、九番湯 渋大湯(結願湯)の前にある石段を昇って渋高薬師にお参りして、「祈願手ぬぐい」にお薬師様のスタンプを押すと願いが叶うと言われています。
<祈願種目>
一.安産祈願
一.不老長寿祈願
一.身体健全祈願
一.子宝祈願
一.育児健康祈願
一.病魔退散祈願
一.結婚祝寿祈願
一.勉学向上祈願
一.商売繁盛営業満足祈願
一.家内安全祈願
共同浴場はそれほど離れてはいない距離に点在していて、しかもそれぞれ泉質の異なる温泉を楽しみながら湯めぐりをすることが出来ます。
渋温泉に泊まる時には、ぜひチャレンジしてみてください。
9湯めぐりの裏ワザ
でも、9湯もの温泉に入浴する元気も時間もないという人も当然いるかと思います。
そんな方の為に、実は裏ワザが存在しています。
その方法は、湯めぐりの最後に訪問する9番目の結願湯の湯である「渋大湯」に行ってください。
階段の左手に「夢ぐり願い処」があります。
ここで願掛け手桶を振って外湯番号を引き、出た番号の外湯に入浴して札に印を押して願い事を書いて奉納すると叶いがかないます。
1湯だけ共同浴場に入浴すればいいのでハードルはかなり低くなります。
もちろん私は9湯すべての共同浴場をめぐって渋高薬師にお参りしました。